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年金の繰り上げ・繰り下げ受給|損益分岐の考え方

暮らしとお金のカフェ 編集部
編集部確認済み: 2026-06-19(制度・法令の更新情報を反映)

年金の繰り上げ・繰り下げ受給|損益分岐の考え方について、具体的な方法・注意点・実践ステップを解説します。

この記事でわかること

年金の繰り上げ・繰り下げ受給|損益分岐の考え方について、具体的な方法・注意点・実践ステップを解説します。

税制・社会保険・金融制度・サービス料金・キャンペーン内容は変更されることがあります。 記事の内容は一般的な情報として確認し、申し込みや申告の前には公式サイト・税務署・年金事務所・専門家の最新情報もあわせて確認してください。
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この記事の目次

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# 年金の繰り上げ・繰り下げ受給|損益分岐の考え方

「年金っていつから受け取るのが一番トク?」

カフェで友人たちの話を聞いていると、こんな質問がよく出ます。実は、人生100年時代のいま、この選択が人生のお金を大きく左右することもあるんです。今回は、年金の繰り上げ・繰り下げ受給の仕組みと、損益分岐点の考え方についてお話しします。

年金受給は「60〜75歳」から選べる時代

年金は、原則として65歳から受け取れる制度ですが、実は60歳から74歳のあいだであれば、好きな時期から受け取り始めることができます

  • 繰り上げ受給:60〜64歳で早めに受け取る
  • 通常受給:65歳で受け取る
  • 繰り下げ受給:66〜75歳で遅らせて受け取る

それぞれを選択すると、月々の受取額が変わります。つまり、「いつから受け取るか」で、人生全体での受給総額が大きく異なるわけです。

受取時期で変わる、毎月の年金額

繰り上げ・繰り下げによる金額調整

大事なポイント:年金額は、受け取り開始時期から月ごとに0.4%ずつ増減します。

受取開始年齢 65歳比での調整率 毎月の金額(例)
60歳(5年早める) 70%(約30%減) 14万円
62歳(3年早める) 82.2%(約17.8%減) 16.4万円
65歳(標準) 100% 20万円
67歳(2年遅らせる) 108.8%(約8.8%増) 21.76万円
70歳(5年遅らせる) 142%(約42%増) 28.4万円
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※毎月の金額は、65歳時点で月20万円の場合の試算例です。実際の金額は人によって異なります。

「繰り上げでもらうと、毎月は少ないけど、早くからもらえる」と「繰り下げでもらうと、毎月は多いけど、もらい始めるまで待つ」という、相反する利益があるわけです。

「損益分岐点」を計算する

では、どちらがトクなのでしょうか。それは「合計でいくらもらえるか」によって決まります。

損益分岐点とは

損益分岐点とは、「どの時点で、遅く受け取り始めた方が、早く受け取り始めた場合より合計金額で上回るのか」という時点です。

具体例を見てみましょう。

例:60歳繰り上げ vs. 65歳通常受給

  • 60歳から受け取る場合:毎月14万円 → 累計額は月数に応じて加算
  • 65歳から受け取る場合:毎月20万円 → 65歳までの5年間はゼロ、その後から加算開始

計算してみると……

  • 60歳受給:14万円 × 60ヶ月(60〜65歳)= 840万円

  • その後も毎月14万円が続く

  • 65歳受給:5年間はゼロ + 65歳以降、毎月20万円

この場合、82〜83歳付近で、65歳から受け取り始めた方が合計額で上回ります。つまり、83歳まで生きるなら、65歳からの通常受給の方がトクということです。

別のケース:65歳 vs. 70歳

  • 65歳から受け取る場合:毎月20万円
  • 70歳から受け取る場合:毎月28.4万円

70歳から受け取り始めるには、5年間(60ヶ月)、受け取りを我慢する必要があります。その「我慢分」を取り戻すには……

計算:

  • 65歳から受給した5年間の合計:20万円 × 60ヶ月 = 1,200万円
  • 70歳から受給した場合、毎月8.4万円多くもらえる
  • 1,200万円 ÷ 8.4万円 ≒ 約143ヶ月(≒約12年)

つまり、**82歳(70歳 + 12年)**を超えて生きるなら、70歳繰り下げの方がトク、ということになります。

「生きている期間」の不確実性が判断を難しくする

ここが、年金選択を難しくさせるポイントです。

「何歳まで生きるか」は誰にもわかりません。だからこそ、損益分岐点を計算しても、その判断にはリスクが伴うのです。

人生100年時代のいま

高い医療技術と健康意識の向上により、平均寿命は男性約81歳、女性約87歳に達しています(2026年5月時点)。

  • 親族の健康寿命が長い場合、自分も長生きする傾向がある
  • 現在の健康状態(定期運動、食生活、持病の有無)
  • 経済状況(ストレスが少ないと健康寿命が伸びやすい)

こうした個人差が大きいため、「年金は〇歳から受け取るべき」という正解は存在しないのです。

年金選択を考えるための4つのポイント

実際に年金受給時期を決めるときは、損益分岐点の計算だけでなく、以下の要素も検討してみてください。

1. 現在の健康状態と家族の長寿記録

親や祖父母が高齢まで健康的に過ごしていたなら、自分も長生きする確率が高まります。その場合は、繰り下げ受給で月々の受取額を増やす価値があります。

2. 早期リタイアできるか経済的余裕

60代前半で仕事をやめたくても、年金がなければ生活費を貯蓄から取り崩さなければなりません。そのためなら60歳繰り上げも選択肢になります。

一方、70歳まで働き続けられるなら、繰り下げ受給で老後資金をより充実させるのが現実的です。

3. 夫婦の受給タイミングのズレ

配偶者がいる場合、二人の受給時期が異なると、手続きが複雑になります。また、一方が亡くなった場合に遺族年金の選択肢も変わってきます。夫婦で話し合って、できるだけ同じプランを立てるのがおすすめです。

4. インフレーションへの対策

年金額は、毎年の物価変動に応じて調整されます。つまり、同じ金額をもらい続けるわけではないということです。

特に長く生きた場合、繰り下げで月々の金額が大きい方が、インフレ対策になる側面もあります。

実は「正解がない」からこそ大切なこと

年金の受給時期選択は、保険のようなものです。「80歳で亡くなるかもしれない」「100歳まで生きるかもしれない」という不確実性の中で、自分のリスク許容度に合わせて判断するしかありません。

よくある選択肢

繰り上げを選ぶ人

  • 60代でリタイアしたい
  • 人生を今すぐ楽しみたい
  • 家族に健康寿命が短い傾向がある

通常受給(65歳)を選ぶ人

  • 仕事を続けるつもり
  • 無難なバランスを求めている
  • 年金の詳細計算よりも「心の安定」を重視

繰り下げを選ぶ人

  • 70歳まで働く予定
  • 長生きする自信がある
  • 老後資金をできるだけ大きくしたい

どれが正解でもありません。大事なのは、自分の人生プランに合わせて、納得できる選択をすることです。

年金以外の収入も踏まえよう

忘れてはいけないのが、年金だけが老後資金ではないという点です。

  • iDeCo:掛金は全額所得控除で、運用益も非課税。自営業なら月最大68,000円、会社員なら月20,000〜23,000円(2024年12月〜の新基準)を積立可能です。
  • 貯蓄:銀行預金や投資信託NISAなら年360万円まで非課税で運用できます。
  • 退職金:まとまった一時金として老後資金に充当可能。

こうした「年金以外の収入」がしっかりあれば、繰り上げ受給を選んでも生活が成り立ちます。逆に、年金しか頼るものがなければ、繰り下げでできるだけ増額する戦略が現実的です。

まとめ

年金の繰り上げ・繰り下げ受給は、「いつまで生きるのか」という不確実性の中での選択です。損益分岐点を知ることは大事ですが、それだけで決めるのではなく、自分の健康寿命、経済状況、人生設計を総合的に考えることが重要です。

  • 繰り上げなら早く受け取れるが月額は減る
  • 繰り下げなら月額は増えるが受け取り開始は遅れる
  • 分岐点は約12〜15年後(選択肢による)

65歳で受け取り始める「通常受給」が無難ですが、それぞれの人生に合わせた柔軟な選択が、本当の「トク」につながるのだと思います。

年金定期便を見ながら、配偶者やファイナンシャルプランナーと一緒に、自分たちにぴったりなタイミングを見つけてみてください。人生100年時代、その選択が笑顔の老後につながりますように。

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