遺言書の種類と正しい書き方
自筆証書・公正証書・秘密証書の3種類の遺言書の特徴と書き方を解説。法的に有効な遺言書の要件、よくある無効になるパターン、費用の目安まで網羅的に紹介します。
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自筆証書・公正証書・秘密証書の3種類の遺言書の特徴と書き方を解説。法的に有効な遺言書の要件、よくある無効になるパターン、費用の目安まで網羅的に紹介します。
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遺言書がないと家族が苦労する
「自分が死んだあとのことは家族に任せればいい」と考えている方は多いのですが、遺言書がない相続では、残された家族が思わぬ苦労をすることがあります。
遺言書がない場合、相続人全員の**合意(遺産分割協議)**が必要になります。相続人の中に一人でも合意しない人がいれば、相続手続きが進みません。遺産分割協議には数ヶ月〜数年かかることもあり、その間、亡くなった方の銀行口座は凍結されたままになります。
遺言書は「自分の意思を残す」ためだけでなく、残された家族の負担を減らすための思いやりでもあります。
遺言書の3種類
1. 自筆証書遺言
概要: 遺言者が全文・日付・氏名を手書きで記載し、押印するもの。
メリット:
- 費用がかからない(紙とペンと印鑑だけ)
- 一人で作成でき、内容を誰にも知られない
- いつでも書ける
デメリット:
- 法的要件を満たしていないと無効になる
- 家庭裁判所での「検認」手続きが必要(法務局保管の場合は不要)
- 紛失・偽造・隠蔽のリスクがある
よくある無効パターン:
- パソコン・ワープロで作成した(財産目録は除く)
- 日付が「〇月吉日」など不正確
- 押印がない
- 遺産の特定が曖昧(「貯金全部を長男に」など)
2020年改正で財産目録はパソコン作成OK: 財産の一覧(目録)だけはパソコン作成・通帳コピー等でも可。ただしすべてのページに署名・押印が必要。
2. 公正証書遺言
概要: 公証役場で、公証人に内容を口述し、2人以上の証人の立会いのもとで作成する遺言書。
メリット:
- 最も法的効力が確実
- 公証役場に原本が保管されるため紛失・偽造のリスクなし
- 家庭裁判所での「検認」手続きが不要
- 遺言者が字が書けない場合でも作成できる
デメリット:
- 費用がかかる(財産額に応じて数万円〜10万円以上)
- 証人2人が必要(相続人・受遺者やその配偶者・直系血族は証人になれない)
費用の目安:
| 遺産総額 | 公証人手数料の目安 |
|---|---|
| 100万円以下 | 17,000円 |
| 200万円以下 | 23,000円 |
| 700万円以下 | 40,000円 |
| 1,000万円以下 | 43,000円 |
| 3,000万円以下 | 43,000円+段階加算 |
| 5,000万円以下 | 29,000円+加算 |
(2023年時点の目安。実際は財産の種類・数・付言事項等で変動します)
3. 秘密証書遺言
概要: 内容を秘密にしたまま存在だけを公証人に証明してもらう遺言書。
実務上はほとんど使われません。自筆証書遺言か公正証書遺言のどちらかを選ぶのが一般的です。
📌 遺言書の書き方を学ぶには専門書も参考になります
有効な遺言書を書くための必須要件
自筆証書遺言の要件
- 全文を自筆で書く(パソコン不可)
- 日付を正確に記載する(「令和〇年〇月〇日」と完全に)
- 氏名を自筆で記名する
- 押印する(実印が望ましいが認め印でも有効)
遺言書に書けること・書くべきこと
書けること(遺言事項):
- 相続分の指定(「長男に財産の3分の2を相続させる」等)
- 財産の特定(「〇〇銀行〇〇支店の普通預金口座を長女に相続させる」等)
- 遺贈(相続人以外への財産の贈与)
- 認知(非嫡出子の認知)
- 後見人の指定
- 葬儀・埋葬に関する希望(法的効力はないが尊重される)
注意:遺言書には「付言事項」として、法的効力はないが家族へのメッセージを残せます。 感謝の言葉・相続の判断理由などを添えることで、家族が遺言の趣旨を理解しやすくなります。
法務局への自筆証書遺言の保管制度
2020年から法務局で自筆証書遺言を保管できる制度が始まりました。
メリット:
- 紛失・偽造・隠蔽のリスクがなくなる
- 家庭裁判所での「検認」が不要になる
- 全国どこの法務局でも照会・取得ができる
費用: 3,900円(保管申請手数料)
自筆証書遺言の最大のデメリット(紛失・無効リスク)をカバーできるため、費用を抑えたい方には法務局保管制度の活用をおすすめします。
遺留分:遺言書があっても「最低保証分」がある
遺言書で「全財産を〇〇に」と書いても、法定相続人(配偶者・子・親等)には遺留分という最低限の相続権があります。
遺留分の割合:
| 相続人の構成 | 遺留分の割合 |
|---|---|
| 配偶者のみ | 財産の1/2 |
| 子のみ | 財産の1/2 |
| 配偶者と子 | 財産の1/2 |
| 親のみ | 財産の1/3 |
| 兄弟姉妹 | 遺留分なし |
遺留分を侵害する遺言書も法的には有効ですが、侵害された相続人から「遺留分侵害額請求」を行使される可能性があります。
遺言書は定期的に見直す
一度作った遺言書も、以下のタイミングで見直しを検討してください:
- 家族構成が変わったとき(出生・死亡・婚姻・離婚等)
- 財産内容が大きく変わったとき
- 相続人の関係が変化したとき
- 5〜10年に一度の定期的な確認
最後に作った遺言書が有効なため、見直しの際は新しい遺言書を作成します。
専門家に依頼するかどうかの判断基準
| こんな場合 | おすすめの対応 |
|---|---|
| 財産がシンプル(預金のみ等)・家族関係が複雑でない | 自筆証書遺言+法務局保管 |
| 不動産がある・相続人が多い・事業がある | 公正証書遺言(司法書士・弁護士のサポートあり) |
| 認知症の心配がある・早急に対応したい | 公正証書遺言(早めに作成) |
💡 遺言書に加えて、資産の管理・運用状況を整理しておくことも大切です
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まとめ
- 遺言書の種類は主に「自筆証書」「公正証書」の2つ
- 自筆証書は費用ゼロだが無効リスクあり。法務局保管(3,900円)でリスク軽減
- 公正証書遺言は最も確実だが費用がかかる
- 遺留分(相続人の最低保証分)を考慮した内容にすることが重要
- 定期的な見直しが必要
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