在宅勤務・テレワークの経費はどこまで控除できる?会社員とフリーランスの違いを解説
在宅勤務・テレワークの経費はどこまで控除できる?会社員とフリーランスの違いを解説について、具体的な方法・注意点・実践ステップを解説します。
✓この記事でわかること
在宅勤務・テレワークの経費はどこまで控除できる?会社員とフリーランスの違いを解説について、具体的な方法・注意点・実践ステップを解説します。
この記事の目次
あわせて読みたい記事
2026年6月19日 制度改正確認済み
所得税・年収の壁:2026年分は基礎控除と給与所得控除が再改正されています。本文中の「基礎控除48万円」「給与収入103万円」は旧制度の計算例です。給与収入のみで一定の低所得区分に該当する場合、本人の所得税がかかり始める目安は最大178万円まで引き上げられますが、配偶者控除・扶養控除・社会保険の判定は別基準です。 公式情報を確認
コロナ禍以降、テレワーク・在宅勤務が当たり前の働き方になりました。それに伴って「自宅で仕事をしているのに、かかった費用は何も戻ってこないの?」という疑問を持つ方が増えています。
実は、会社員とフリーランスでは、在宅勤務の費用を経費化(控除)できるルールがまったく異なります。フリーランスには使い勝手のいい「家事按分」という仕組みがあり、会社員には「特定支出控除」という制度があります。
今日はそれぞれの仕組みと、具体的な計算例を一緒に見ていきましょう。
会社員の在宅勤務経費:特定支出控除とは
会社員が「仕事のためにかかった費用を控除したい」と思った場合に使える制度が 特定支出控除 です。ただし、この制度には「ハードルが高い」という大きな特徴があります。
特定支出控除の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 控除対象 | 特定の業務関連費用 |
| 適用条件 | 特定支出の合計額が「給与所得控除額の½」を超えること |
| 手続き | 確定申告が必要 |
| 証明書類 | 会社(職場)が発行する「特定支出に関する証明書」が必要 |
特定支出に該当する費用
| 費用の種類 | 具体例 | 備考 |
|---|---|---|
| 通勤費 | 公共交通機関の通勤費(会社支給額を超える分) | 月15万円を上限 |
| 転居費 | 転任に伴う引越し費用 | — |
| 研修費 | 職務上の教育訓練費 | — |
| 資格取得費 | 業務に直接必要な資格の取得費用 | 弁護士・公認会計士等の一定資格は除く |
| 帰宅旅費 | 単身赴任中の帰宅費用 | — |
| 勤務必要経費 | 書籍・衣服(制服・ユニフォーム)・交際費 | 合計65万円上限 |
| 在宅勤務関連費用 | 自宅の光熱費・通信費のうち業務使用分 | 勤務必要経費の一部として計上可 |
2022年の法改正で、在宅勤務に関連する光熱費・通信費が特定支出の「勤務必要経費」に含められるようになりました。ただし、後述するように 条件が厳しく、実際に使える人は限られています。
特定支出控除の「ハードル」:適用条件を確認する
特定支出控除が受けられるのは、特定支出の合計が「給与所得控除額の½」を超えた場合だけです。
給与所得控除の½の目安:
| 年収 | 給与所得控除額 | 控除の½(ハードルライン) |
|---|---|---|
| 300万円 | 98万円 | 49万円 |
| 400万円 | 124万円 | 62万円 |
| 500万円 | 144万円 | 72万円 |
| 600万円 | 164万円 | 82万円 |
| 700万円 | 180万円 | 90万円 |
| 850万円以上 | 195万円(上限) | 97.5万円 |
つまり、年収400万円の方が特定支出控除を使うには、特定支出の合計が 62万円以上 必要ということです。在宅勤務の光熱費・通信費だけでこのラインを超えるのは現実的ではありません。
さらに「会社の証明書」が必要という条件もあります。 業務に必要な費用であることを職場が証明した書類がないと、申告できません。テレワーク手当が支給されている場合は、手当を超えた実費分が対象になります。
結論:会社員の在宅勤務経費は個人での節税が難しい
残念ながら、ほとんどの会社員にとって特定支出控除は現実的に使えない制度 です。在宅勤務費用だけで年間数十万円を自己負担するケースは少ないからです。
在宅勤務の費用については、会社が費用を負担する制度を設けているかどうか(テレワーク手当・通信費補助など)を確認することの方が実用的です。
フリーランスの在宅勤務経費:家事按分で計上できる
フリーランス・個人事業主にとって、自宅を仕事場として使っている場合の費用は 家事按分 という方法で経費計上できます。
家事按分とは「仕事と私生活の両方に使う費用を、合理的な割合で分けて、仕事分を経費にする」考え方です。
家事按分できる費用
| 費用の種類 | 按分の基準例 | 按分割合の例 |
|---|---|---|
| 家賃 | 仕事に使う部屋の面積 ÷ 自宅の総面積 | 20〜30%程度が目安 |
| 電気代 | 仕事時間 ÷ 1日の総時間 × 業務スペース割合 | 10〜20%程度が目安 |
| ガス代 | 基本的に按分が難しい(仕事での使用が少ない) | 0〜5%程度 |
| インターネット回線費 | 仕事での使用時間 ÷ 総使用時間 | 50〜80%程度が目安 |
| スマートフォン代 | 仕事での使用割合 | 50〜80%程度が目安 |
| 水道代 | 仕事での使用が少ないため按分は難しい | 0〜5%程度 |
家賃の按分計算例:具体的な数字で見てみよう
前提:
- 月家賃:12万円
- 自宅の総面積:50㎡
- 仕事に使う部屋(書斎・作業スペース):10㎡
- 週5日テレワーク
面積按分による計算:
経費にできる家賃 = 12万円 × (10㎡ ÷ 50㎡)= 12万円 × 20% = 2.4万円/月
年間:2.4万円 × 12か月 = 28.8万円
電気代の按分計算例
前提:
- 月の電気代:1.5万円
- 仕事をしている時間:1日8時間(1日の合計24時間)
- 仕事に使う部屋の面積割合:20%
時間×面積で按分:
按分割合 = (8時間 ÷ 24時間)× 20% = 約6.7%
経費にできる電気代 = 1.5万円 × 6.7% ≈ 1,005円/月
年間:約12,000円
通信費の按分:一番シンプルに計算できる
スマートフォンやインターネット回線は、仕事とプライベートの区別がつけやすい費用です。
前提:
- 月の自宅インターネット料金:6,000円
- ほぼ仕事でしか使わない:按分80%
経費にできる通信費 = 6,000円 × 80% = 4,800円/月
年間:57,600円
家事按分の「合理的な割合」の考え方
税務署に否認されないためには、按分の根拠が合理的であることが大切です。
合理的と認められやすい基準
面積基準(家賃・電気代): 部屋の面積は客観的なので、根拠として使いやすい基準です。間取り図や測定値を保管しておくと、税務調査の際に説明しやすくなります。
時間基準(電気代・スマートフォン): 「1日8時間、週5日仕事をしている」など、実際の業務時間を記録しておくと説得力が高まります。
按分割合の「節度」: 仮に「24時間仕事で使っている」と主張して按分100%にすることは否認される可能性が高いです。プライベートでもインターネットや電気を使っている実態がある場合、現実的な割合で計算しましょう。
按分割合の現実的な目安
| 費用 | 按分割合の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 家賃 | 20〜30% | 自宅の1/4〜1/3を仕事専用スペースにしているイメージ |
| 電気代 | 10〜20% | 仕事スペース+仕事時間を考慮 |
| インターネット | 50〜80% | 仕事での使用が主な場合 |
| スマートフォン | 50〜80% | 仕事用と私用を兼用の場合 |
| 水道・ガス | 0〜5% | 仕事での使用が少ないため低め |
会社員とフリーランスの差をまとめて比較
| 比較項目 | 会社員 | フリーランス |
|---|---|---|
| 在宅勤務費用の控除方法 | 特定支出控除 | 家事按分(経費計上) |
| 実用性 | 低い(条件が厳しい) | 高い(合理的な範囲で自由に按分) |
| 必要な手続き | 確定申告+会社の証明書 | 確定申告(青色申告) |
| 控除のハードル | 給与所得控除の½超(年収400万円で62万円超) | 特に上限なし(按分割合次第) |
| 対象費用 | 家賃・光熱費・通信費(勤務必要経費の一部) | 家賃・光熱費・通信費・消耗品など |
| 証明書類 | 職場の証明書が必須 | 領収書・請求書の保管で対応 |
まとめ
在宅勤務の費用控除は「会社員かフリーランスか」で使える制度がまったく異なります。
会社員の場合:
- 特定支出控除という制度があるが、適用要件(給与所得控除の½超え+職場の証明書)が厳しい
- 在宅勤務費用だけで条件を満たすことは現実的に難しいケースが多い
- まず「会社がテレワーク費用を補助する制度があるか」を確認する方が実用的
フリーランス・個人事業主の場合:
- 家事按分で家賃・光熱費・通信費を合理的な割合で経費計上できる
- 按分の根拠(面積・時間)を記録として残しておくことが大切
- 按分割合は現実的な範囲で設定し、税務調査に説明できるようにしておく
テレワーク・在宅勤務が定着した今、「払っている費用を少しでも節税に活かしたい」と思うのは自然なことです。自分の働き方に合った制度を正確に理解して、適切に活用していきましょう。
freee会計
副業・フリーランスの確定申告はfreeeで自動化!
- ✓青色申告65万円控除に完全対応
- ✓銀行・クレカの明細を自動取込
- ✓初心者でもかんたんガイド機能
- ✓料金プランや無料で使える範囲を公式で確認できる
料金プラン・対応機能・控除条件は公式で確認できます。
楽天カード
年会費無料カードで固定費と日用品の支払いを整理
- ✓年会費永年無料
- ✓楽天市場や楽天グループ利用時のポイント条件を確認できる
- ✓楽天証券のクレカ積立条件も確認できる
- ✓ETCカード・家族カードも発行可
入会特典・ポイント条件・発行可否は公式で確認できます。
暮らしとお金のカフェ 編集部
副業・節税・フリーランス・資産形成の実践的な情報を発信。暮らしとお金をもっとよくするために、やさしい言葉で情報をお届けします。