老後の医療費はいくらかかる?後期高齢者の自己負担
老後の医療費はいくらかかる?後期高齢者の自己負担について、具体的な方法・注意点・実践ステップを解説します。
✓この記事でわかること
老後の医療費はいくらかかる?後期高齢者の自己負担について、具体的な方法・注意点・実践ステップを解説します。
この記事の目次
あわせて読みたい記事
2026年6月19日 制度改正確認済み
年金・医療・介護制度:年金額、在職老齢年金の基準額、高額療養費、介護保険料・自己負担は年度や所得区分で変わります。本文の金額は記載年の目安として読み、実際の受給・負担額は日本年金機構、厚生労働省、加入先へ確認してください。 公式情報を確認
カフェで友人と「老後、医療費ってどのくらいかかるんだろう」という話になることはありませんか?退職後の生活設計を考えるなら、医療費の実態を知ることは欠かせません。今回は、後期高齢者医療制度の仕組みと実際の自己負担額について、わかりやすく解説します。
後期高齢者医療制度とは
75歳以上の方が加入する後期高齢者医療制度は、現役世代の支援を受けながら運営される公的医療保険です。この制度により、医療費が必要になった場合、全額を自分で負担するのではなく、一定の割合だけを自己負担することになります。
年齢別の自己負担割合
後期高齢者の医療費自己負担割合は、年齢と収入によって変わります(2026年5月現在)。以下が標準的な割合です:
| 年齢・条件 | 自己負担割合 |
|---|---|
| 75〜79歳(現役並み所得者以外) | 1割 |
| 80歳以上(現役並み所得者以外) | 1割 |
| 75〜79歳(現役並み所得者) | 3割 |
| 80歳以上(現役並み所得者) | 3割 |
「現役並み所得者」とは、世帯内に住民税課税所得が145万円以上の方がいる場合を指します。つまり、年金生活者でも一定以上の所得がある方は、より高い自己負担割合になるということです。
医療費の自己負担額の実例
では、実際にどのくらいの医療費がかかるのか、具体例を見てみましょう。
診療内容別の自己負担額(1割負担の場合)
| 診療内容 | 医療費総額 | 自己負担額(1割) |
|---|---|---|
| 初診料 | 約2,820円 | 約280円 |
| 風邪の診察・処方薬 | 約5,000〜8,000円 | 約500〜800円 |
| 虫歯治療(簡単な処置) | 約3,000〜5,000円 | 約300〜500円 |
| 高血圧症の月1回通院 | 約2,000〜3,000円 | 約200〜300円 |
| 糖尿病の月1回通院 | 約3,000〜4,000円 | 約300〜400円 |
| 入院(1日) | 約15,000〜25,000円 | 約1,500〜2,500円 |
一見すると少額に見えますが、複数の疾患を持つ方が毎月通院すると、総額では無視できない負担になります。
高額療養費制度で負担を軽減
ここが重要なポイント。医療費が一定額を超えた場合、高額療養費制度により、超過分が支給されます。つまり、自己負担額の上限が決まっているのです。
高額療養費の自己負担上限額(月ごと・2026年5月時点)
| 所得区分 | 自己負担上限額 |
|---|---|
| 現役並み所得者(課税所得145万円以上) | 44,400円 |
| 一般(課税所得145万円未満で年金収入など200万円以上) | 12,000円 |
| 低所得者Ⅱ(年金収入など80万円以上200万円未満) | 8,000円 |
| 低所得者Ⅰ(年金収入など80万円未満) | 8,000円 |
つまり、一般的な低所得の後期高齢者なら、月の医療費がいくら高くても、自己負担は上限12,000円ということ。大きな手術や長期入院をしても、月12,000円を超える負担がかかりません。
実例:月50万円の医療費がかかった場合
- 医療費総額:500,000円
- 自己負担額(一般の場合):12,000円
- 高額療養費支給額:488,000円
このように、制度が自己負担を守ってくれるわけです。
年間の医療費はいくら?統計から見える実態
厚生労働省の統計データから、後期高齢者の年間医療費の実態を見てみます。
年齢別・年間医療費の平均
実際の統計(直近の公開データ参照)によると、後期高齢者1人あたりの年間医療費は:
- 75〜84歳:年間約75万円〜90万円
- 85歳以上:年間約90万円〜110万円
ただし、これは個人差が大きいのが実情です。健康寿命を過ごしている方は年間30万円程度の医療費で済みますが、複数の慢性疾患を持つ方なら年間150万円を超えることもあります。
後期高齢者医療保険料の負担も忘れずに
医療費の自己負担だけでなく、後期高齢者医療保険料も毎月支払う必要があります。
保険料の構成
後期高齢者医療保険料は以下の2つで構成されています:
- 均等割額:約45,000〜50,000円/年(全国の平均、自治体で異なる)
- 所得割額:前年度の課税所得 × 約10%(自治体で異なる)
年金収入が低い方は均等割のみの場合も多く、年間で約45,000円程度の保険料となります。年金から天引きされる形で徴収されるため、別途支払う手間はありません。
準備しておくべき老後医療費の貯蓄目安
では、実際いくら用意しておけば安心なのか考えてみましょう。
人生100年時代の医療費シミュレーション
75歳から90歳までの15年間を想定した場合
| 項目 | 年間額 | 15年間合計 |
|---|---|---|
| 医療費自己負担(月12,000円×12ヶ月) | 144,000円 | 2,160,000円 |
| 後期高齢者医療保険料 | 50,000円 | 750,000円 |
| 医療費以外の健康・介護用品 | 60,000円 | 900,000円 |
| 合計 | 254,000円 | 3,810,000円 |
つまり、75歳から90歳までの15年間で約380万円程度の医療関連費用を見積もっておくと安心です。
これは飽くまで目安。介護施設への入居や特別な治療が必要になれば、さらに上乗せが必要です。
老後医療費を抑えるための工夫
医療費が決まった額で済むわけではありません。生活習慣や予防意識で、かなり抑えることができます。
効果的な対策5つ
- 定期健診の受診:無料または低額で受けられる健診で早期発見を心がける
- ジェネリック医薬品の利用:先発医薬品の2〜7割程度の費用で済む
- 運動習慣と食生活改善:糖尿病・高血圧の予防・改善で通院頻度を減らす
- 歯のケア:歯周病は全身疾患につながるため、定期的な検診と手入れが重要
- 医療費控除の活用:年間の医療費が10万円を超える場合は確定申告で控除を受ける
特に年間医療費が10万円(または所得金額の5%のいずれか少ない方)を超える場合、医療費控除により所得税が還付されます。毎年確認する価値があります。
まとめ
後期高齢者の医療費は、制度の手厚い保障により、思われるほど負担が重くありません。むしろ、以下のポイントを押さえておけば、老後の生活設計は現実的です:
- 月の自己負担上限は12,000円程度(一般的な低所得者の場合)
- 年間の医療費目安は75万〜110万円(本人負担はこのうち10%程度)
- 75〜90歳までの15年で約380万円あれば安心
- 予防と生活習慣改善で医療費を大幅削減可能
老後は思っているより「医療に困窮する」ことは少ないもの。むしろ、元気なうちに健康習慣を作り、必要な貯蓄を積み重ねることが、心穏やかな人生100年時代への最良の投資です。
あなたの老後設計に、この情報がお役に立てば幸いです。