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小規模企業共済で節税しながら老後資金

暮らしとお金のカフェ 編集部

小規模企業共済は個人事業主・小規模企業の経営者向けの退職金制度です。節税効果・受取・解約の3点で、活用価値を判断できます。

この記事でわかること

小規模企業共済は個人事業主・小規模企業の経営者向けの退職金制度です。節税効果・受取・解約の3点で、活用価値を判断できます。

こんにちは、暮らしとお金のカフェへようこそ。節税・節約のコツを、実践的な視点でわかりやすく解説します。

個人事業主・フリーランスが「老後資金」を準備する最強の制度

「フリーランスになって数年、老後のお金はどうしよう」「個人事業主に退職金はないから、自分で用意しなきゃいけない」——そう感じている方に、ぜひ知ってほしい制度があります。

それが小規模企業共済です。

個人事業主・小規模企業の経営者向けの「自分で作る退職金制度」で、節税効果と老後資金の積み立てを同時に実現できます。知っているかどうかで、数十万〜数百万円の差が生まれる可能性がある制度です。


小規模企業共済の基本的な仕組み

制度の概要

小規模企業共済は、中小機構(独立行政法人中小企業基盤整備機構)が運営する退職金共済制度です。事業を廃業したとき・65歳以上になったときなどに、積み立てた掛金と運用益を受け取ることができます。

加入できる人

対象 条件
個人事業主 常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業は5人以下)
小規模企業の役員 取締役・理事など
共同経営者 個人事業主の共同経営者(最大2人まで)
副業の個人事業主 開業届を提出していれば加入対象

副業でフリーランス活動をしている会社員の方も、個人で開業届を出していれば加入できます。

掛金の範囲と柔軟性

  • 月額:1,000円〜70,000円(500円単位)
  • 年額:最大840,000円
  • 変更:途中での増額・減額が可能
  • 休止:一時的な掛金の停止も可能

掛金が全額所得控除:節税効果を計算する

「全額控除」の意味

小規模企業共済の掛金は、その全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得から差し引かれます。これは非常に有利な仕組みです。

例えば課税所得が400万円の方が、月7万円(年84万円)を掛けると:

計算:

  • 控除前の課税所得:400万円
  • 控除後の課税所得:400万円 - 84万円 = 316万円
  • 税率:20%(所得税10%+住民税10%)の場合
  • 節税額:84万円 × 20% = 約16.8万円/年

掛金別・節税シミュレーション表

月掛金 年掛金 節税額(税率20%) 節税額(税率30%)
月1万円 年12万円 約2.4万円 約3.6万円
月3万円 年36万円 約7.2万円 約10.8万円
月5万円 年60万円 約12万円 約18万円
月7万円 年84万円 約16.8万円 約25.2万円

所得が高い方(税率が高い方)ほど、節税効果が大きくなります。所得税率33%(課税所得900万円以下)の方なら、住民税と合わせて43%程度の節税効果が生まれます。


受取時も税優遇:ダブルの恩恵

掛金を積み立てるときだけでなく、受取時にも税制の優遇が受けられます。これが「ダブルの恩恵」と呼ばれる理由です。

一時金(一括)受取の場合

廃業・引退時に一括で受け取ると「退職所得」として扱われ、退職所得控除が適用されます。

退職所得控除額の計算式:

  • 加入20年以下:40万円 × 年数
  • 加入20年超:800万円 + 70万円 × (年数 - 20年)

加入期間別・退職所得控除額:

加入年数 退職所得控除額
10年 400万円
20年 800万円
30年 1,500万円
40年 2,200万円

30年間月7万円を積み立てた場合の総積立額は約2,520万円ですが、退職所得控除が1,500万円あるため、課税されるのは1,020万円の2分の1(510万円)のみです。つまり受取時の税負担が大幅に軽減されます。

分割(年金形式)受取の場合

65歳以上になったとき、10年・15年・20年の年金として分割受取もできます。この場合は「公的年金等」として扱われ、公的年金等控除が適用されます。


解約には注意:長期視点で活用する

小規模企業共済は、長期継続を前提とした制度です。解約のタイミングによっては不利になることがあります。

解約理由 受取額の特徴
廃業・解散(共済事由) 掛金総額より多く受け取れる(有利)
老齢給付(65歳以上) 運用益が加算される
任意解約(加入12ヶ月未満) 掛金は返ってこない
任意解約(加入20年未満) 元本割れの可能性あり
任意解約(加入20年以上) ほぼ元本+運用益

特に注意すべきポイント:

  • 加入後12ヶ月未満で解約した場合、掛金は全額没収
  • 加入20年未満の任意解約は元本割れのリスクあり
  • 「急に資金が必要になったから解約」は損になる可能性が高い

資金的に厳しい時期でも安易に解約しないために、緊急資金を別に確保した上で加入することが重要です。


緊急時の低金利貸付制度

小規模企業共済には、掛金の範囲内で低利融資を受けられる制度があります。

  • 一般貸付:掛金納付総額の7〜9割の範囲内
  • 金利:年1.5%(一般貸付、2026年現在)
  • 使途:事業資金として自由に使用可

iDeCoのように「60歳まで引き出し不可」ではなく、緊急時には借り入れという形で資金を活用できます。これが小規模企業共済の大きなメリットの一つです。


iDeCoとの組み合わせで節税を最大化

個人事業主が活用できる節税制度として、iDeCoと小規模企業共済は両方とも同じ「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除できます。

制度 月最大掛金 年最大控除額
小規模企業共済 7万円 84万円
iDeCo(個人事業主) 6.8万円 81.6万円
合計 13.8万円 165.6万円

両方合わせて年165万円以上の所得控除が可能になります。税率30%なら年約50万円の節税効果です。


加入手順

  1. 中小機構のウェブサイトまたは取扱金融機関の窓口から申込書を入手
  2. 加入資格を証明する書類(開業届・確定申告書など)を準備
  3. 金融機関の窓口で申込書と書類を提出
  4. 掛金引き落とし口座を設定
  5. 加入完了(共済手帳が郵送で届く)

取扱金融機関:ゆうちょ銀行・都市銀行・地方銀行・信用金庫・農協など多数の金融機関で手続き可能です。


まとめ

小規模企業共済で節税しながら老後資金を作るポイント:

  1. 掛金全額が所得控除:月7万円(年84万円)まで全額控除。税率20%なら年16.8万円、税率30%なら年25.2万円の節税効果
  2. 受取時も税優遇:一括受取は退職所得控除(加入30年で1,500万円控除)、分割受取は年金控除。節税の「ダブル効果」
  3. 解約は長期視点で:加入20年未満の任意解約は元本割れのリスクあり。iDeCoや緊急資金と組み合わせて、安易な解約を避ける設計を作る

事業の安定が見えてきたら、できるだけ早めに加入を検討しましょう。若いうちから積み立てるほど退職所得控除額が大きくなり、受取時の税負担も軽くなります。


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