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退職前にやっておくべきお金の準備5項目

暮らしとお金のカフェ 編集部

定年退職前の数年は、その後の人生の質を決める重要な期間です。資産確認・退職金・健康保険・年金・収入源の5項目を整理する準備を紹介します。

この記事でわかること

定年退職前の数年は、その後の人生の質を決める重要な期間です。資産確認・退職金・健康保険・年金・収入源の5項目を整理する準備を紹介します。

こんにちは、暮らしとお金のカフェへようこそ。お金の基礎知識を、難しい言葉なしでやさしく解説します。

定年退職まであと数年——そう意識し始めたとき、「何かしなきゃいけないんだろうけど、何から手をつければいいんだろう」と感じる方は少なくありません。退職後の人生は20年、30年と続くことも珍しくない時代です。退職前の準備がどれだけ充実しているかが、その後の生活の質を大きく左右します。

今日は「退職前にやっておくべきお金の準備」を、具体的な5項目に整理してお伝えします。難しい言葉は使わず、カフェでの会話のように気軽に読んでいただければ幸いです。

なぜ退職前の準備が重要なのか——リタイア後の現実を知る

まず少し現実的な数字を確認しておきましょう。

総務省の調査によると、65歳以上の夫婦のみ世帯の月間支出は平均約26万円です。一方、公的年金(厚生年金国民年金)の平均受給額は夫婦合わせて約21〜22万円程度。つまり毎月約4〜5万円の不足が生じる計算です。年間では約50〜60万円、10年では500〜600万円の赤字になります。

こうした数字を「自分の場合」に当てはめるためにも、退職前の5項目をしっかり確認しておくことが欠かせません。

準備①:資産の全体像を把握する——「見えていないお金」を発掘する

退職前の最初のステップは、今自分(と家族)にいくら資産があるかを正確に把握することです。

「だいたいわかってる」という方も多いですが、意外と見落としがちな資産があります。

確認すべき資産の種類

種類 具体例 確認先
預貯金 普通預金・定期預金 通帳・銀行アプリ
投資 株式・投資信託NISA 証券会社の口座
保険 終身保険・個人年金保険 保険証券
退職金 確定拠出年金(DC)を含む 会社の人事部門
不動産 自宅・投資用物件 固定資産税の明細
その他 ゴルフ会員権・金・外貨など 各証明書

これらを一覧化した「資産一覧表」を作ることが第一歩です。エクセルでも、家計簿アプリ(マネーフォワードなど)でも構いません。

**大切なのは「家族にも見せられる形」で整理すること。**自分だけが把握していても、万が一のとき(突然の病気・死亡)に家族が困ります。資産の場所・口座番号・連絡先をセットで記録した「財産目録」として整理しておくと、相続時の混乱も防げます。

資産一覧表を作る際の注意点

  • 負債も一緒に記録する(住宅ローン残高など)
  • 年に1回は更新する(退職前2〜3年は特に)
  • 保険の見直しも同時に行う(解約返戻金が資産になる場合も)

準備②:退職金の受け取り方と税金——選択で手取りが数百万円変わる

退職金は「もらえるもの」と思って何も考えずにいると、大きな損をする可能性があります。受け取り方によって、税金の額が大幅に変わるからです。

一時金vs年金(分割)の税金比較

受け取り方 適用される控除 特徴
一時金 退職所得控除 控除額が大きく、税負担が軽くなりやすい
年金(分割) 公的年金等控除 毎年受け取れるが、他の所得と合算される

退職所得控除の計算方法

  • 勤続年数20年以下:40万円×勤続年数(最低80万円)
  • 勤続年数20年超:800万円+70万円×(勤続年数-20年)

例:勤続35年の場合の退職所得控除額 800万円+70万円×(35−20)=800万円+1,050万円=1,850万円

退職金が1,850万円以下なら、一時金で受け取ると税金がゼロになります。これが「一時金の方が税制上有利になりやすい」と言われる理由です。

ただし、企業型確定拠出年金(DC)と退職金を組み合わせて受け取る場合は計算が複雑になります。会社の人事部門や税理士・FP(ファイナンシャルプランナー)に相談することを強くおすすめします。退職前1〜2年が相談のベストタイミングです。

準備③:健康保険の切り替え——退職翌日から無保険にならないために

退職日の翌日から、会社の健康保険は使えなくなります。保険証が使えない期間があると、医療費が全額自己負担になります。これを避けるため、退職前に健康保険の切り替えを計画しておく必要があります。

3つの選択肢と特徴

選択肢①:任意継続被保険者 退職前に加入していた健康保険を、退職後も最長2年間継続できる制度です。保険料は会社負担分がなくなるため、退職前の約2倍になりますが、国保より安くなる場合もあります。

  • 申請期限:退職日の翌日から20日以内(厳守)
  • 保険料の目安:退職前の給与の約10〜11%(上限あり)

選択肢②:国民健康保険(国保) 市区町村が運営する保険。保険料は前年の所得に基づいて計算されます。退職後に収入が激減する場合は、任意継続より安くなることがあります。

選択肢③:家族の扶養に入る 配偶者が会社員で健康保険に加入している場合、その扶養に入れる可能性があります。保険料の自己負担がゼロになるため、最も経済的な選択肢です。(収入条件あり:年収130万円未満など)

どれが得かは個人差があるため、退職前に3つの試算を比較することを推奨します。

準備④:年金の受け取り方を決める——繰り下げで最大84%増も

年金は「65歳になったら自動的にもらえる」わけではなく、請求(裁定請求)が必要です。また、受け取り開始年齢を自分で選ぶことができ、この選択が総受取額に大きく影響します。

年金の受け取り開始年齢と増減率

受け取り開始 変動率
60歳(繰上げ最大) 月0.4%減額(最大24%減)
65歳(基本) 増減なし
70歳(繰下げ) 42%増
75歳(繰下げ最大) 84%増

繰り下げが有利になる条件

繰り下げ受給が元を取れる「損益分岐点」は、65歳受給と比べて:

  • 70歳繰り下げ:81〜82歳で元を取れる
  • 75歳繰り下げ:86〜87歳で元を取れる

長生きが予想される・健康に自信がある・退職後も一定の収入がある——という方には繰り下げが有利な場合があります。逆に持病がある・配偶者が年下で扶養がある・今すぐ現金が必要などの場合は、早めの受け取りが合理的な選択になることも。

**ねんきんネット(日本年金機構)**で自分の年金見込み額がシミュレーションできます。退職前に必ず確認しておきましょう。

準備⑤:退職後の収入源を複数持つ——「完全リタイア」より「緩やかなフェードアウト」

年金だけに頼る生活は、精神的にも経済的にも不安定になりやすいです。退職後に何らかの収入源を持つことで、生活の安定度が大幅に上がります。

退職後の収入源の選択肢

① 再雇用・パートタイム 現在の職場での継続雇用(65歳まで法律で義務化)や、別の会社でのパート・非常勤として働く選択です。社会とのつながりと適度な収入が同時に得られ、健康維持にも効果的です。

② 副業・フリーランス 現役時代のスキルを活かした専門的な業務(コンサルティング・講師・顧問)や、趣味を活かした活動などです。月数万円でも収入があると、年金の補填になります。

③ 資産運用からの収益 高配当株・不動産収入・債券利息など。現役時代から準備してきた場合の「収穫期」です。退職後に新たに始める場合はリスク管理を慎重に。

④ ブログ・コンテンツ発信 自分の人生経験・専門知識をブログや動画で発信し、広告収入・アフィリエイト・有料コンテンツから収益を得る方法です。初期収益は小さくても、積み上げると安定した副収入になります。

「緩やかなフェードアウト」の考え方

急に完全リタイアするより、仕事量を段階的に減らしていく「緩やかなフェードアウト」が、健康と財布の両方に優しいとされています。「60歳でフルタイム→63歳でパート→65歳以降は好きな仕事だけ」というように、ギアを少しずつ落としていくイメージです。

退職前チェックリスト

まとめとして、退職前に確認しておきたい項目を一覧化します。

  • 全資産の一覧表を作成した
  • 家族と財産の所在を共有した
  • 退職金の受取方をシミュレーションした
  • 税理士・FPに退職金の税金を相談した
  • 健康保険の切り替え先を3択で比較した
  • 「ねんきんネット」で年金見込み額を確認した
  • 年金受け取り開始年齢を検討した
  • 退職後の収入源の候補を少なくとも2つ考えた
  • 退職後の月間生活費を試算した
  • 必要な老後資産の総額を計算した

まとめ

退職前にやっておくべきお金の準備5項目をまとめると:

  1. 資産の全体像を把握する——家族と共有できる形で全資産を一覧化する
  2. 退職金の受け取り方と税金を検討する——一時金vs年金で手取りが大きく変わる
  3. 健康保険の切り替えを準備する——退職日の翌日から保険が変わることを忘れずに
  4. 年金の受け取り方を決める——繰り下げで最大84%増になることを知っておく
  5. 退職後の収入源を複数考えておく——年金だけに依存しない「緩やかなフェードアウト」

退職前の準備は「早ければ早いほど選択肢が広がる」ものです。退職まで5年、3年、1年——それぞれのタイミングでできることが違います。今日の記事を読んで「あ、これまだやってない」と気づいたことがあれば、まずそこから手をつけてみてください。


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