年金・老後のお金を計算する方法:公的年金だけで足りる?老後資金の作り方
年金制度の仕組みと老後に必要なお金の計算方法を解説。公的年金の受給額の確認方法・老後資金の不足額・iDeCoとNISAを使った老後対策まで実践的に紹介します。
✓この記事でわかること
年金制度の仕組みと老後に必要なお金の計算方法を解説。公的年金の受給額の確認方法・老後資金の不足額・iDeCoとNISAを使った老後対策まで実践的に紹介します。
「老後2,000万円問題」の本質
2019年に話題になった「老後2,000万円問題」。実際には個人の状況によって必要な老後資金は大きく異なります。でも「公的年金だけでは老後資金が足りない可能性がある」というメッセージは重要です。
年金だけで安心な老後を迎えられる時代は終わりつつあります。しかし正しく計算し、今から準備を始めれば、老後の不安は大幅に軽減できます。今回は自分の年金受給額の確認方法と、不足分を補うための対策を解説します。
日本の年金制度の基本を理解する
日本の公的年金制度は「2階建て」と表現されます。
1階:国民年金(基礎年金)
すべての国民が加入する基礎的な年金です。20歳から60歳までの40年間、保険料を納付した場合、65歳から毎月約6万8,000円(2024年度)を受け取れます。
受給額の目安:
- 40年間フル加入:月約6万8,000円
- 30年間加入:月約5万1,000円
- 20年間加入:月約3万4,000円
未納期間があると、その分受給額が減ります。
2階:厚生年金
会社員・公務員が国民年金に上乗せして加入する年金です。収入と加入期間に応じて受給額が変わります。平均的な会社員(月収35万円・40年加入)の場合、厚生年金として月約15万円程度が加算されます。
会社員の合計受給額の目安:
- 国民年金:月約6万8,000円
- 厚生年金:月10〜20万円(収入・加入期間による)
- 合計:月17〜27万円程度
受給開始年齢と繰り下げの仕組み
原則65歳から受給ですが、受給開始時期を選べます。
| 受給開始年齢 | 月額への影響 |
|---|---|
| 60歳(繰り上げ) | 最大24%減額 |
| 65歳(標準) | 基準額 |
| 70歳(繰り下げ) | 42%増額 |
| 75歳(最大繰り下げ) | 84%増額 |
繰り下げ増額率は1か月あたり0.7%です。70歳まで繰り下げると65歳受給より42%多く受け取れます。ただし繰り下げる間の生活費を別の収入源で賄う必要があります。
自分の年金受給額を確認する方法
「自分は将来いくら受け取れるのか」を知ることが老後計画の第一歩です。
ねんきんネットで確認する
日本年金機構が提供する「ねんきんネット」で、将来の受給予測額を確認できます。
手順:
- 日本年金機構の公式サイトから「ねんきんネット」にアクセス
- マイナンバーカードまたはアクセスキーでログイン(アクセスキーはねんきん定期便に記載)
- 「年金見込額試算」を選択
- 「現状維持」または「条件を変更して試算」を選ぶ
確認できること:
- 現在の年金加入記録(未納がないか確認できる)
- 現在のまま働き続けた場合の受給予測額
- 任意の条件(収入変化、受給開始年齢変更など)での試算
ねんきん定期便で確認する
毎年誕生月に郵送される「ねんきん定期便」でも受給予定額を確認できます。はがきサイズで届く定期便に「見込み受給額」が記載されています。
50歳以上になると、現在の収入が継続した場合の受給見込み額が記載されるため、より具体的な老後の計画を立てやすくなります。
老後に必要なお金を計算する
老後の生活費の目安
総務省の家計調査によると、65歳以上の夫婦二人世帯の月々の支出平均は約25〜28万円です。これには住居費・食費・医療費・交通費などが含まれます。
ただし「平均」は一つの目安であり、生活スタイルによって大きく変わります。
生活スタイル別の月間費用目安:
- 質素な生活(賃貸なし):月20万円程度
- 標準的な生活:月25〜28万円程度
- ゆとりある生活(旅行・趣味込み):月35万円以上
老後資金の計算式
老後の必要資金 = (月々の生活費 − 年金受給月額) × 12か月 × 老後年数
例(夫婦2人・標準的な生活の場合):
- 月の生活費:25万円
- 年金受給額(夫婦合計):月20万円
- 月々の不足額:5万円
- 老後期間:25年(65歳〜90歳)
必要資金 = 5万円 × 12か月 × 25年 = 1,500万円
この計算は一例です。自分の年金受給額と生活水準に合わせて計算してみましょう。
生活費以外に必要な老後の特別支出
計算を行う際に忘れがちな支出があります。
- 医療・介護費:長生きするほど増加。1人あたり生涯で数百万円を見込む
- 住宅の修繕費:持ち家の場合、10〜20年に一度まとまった修繕費が必要
- 子どもへの援助:結婚・出産・住宅購入などの援助を想定する場合
- 緊急資金:予期しない出費への備え
これらを加味すると、老後の準備金は多ければ多いほど安心です。
老後資金を作る3つの方法
方法1:iDeCo(個人型確定拠出年金)
老後資金専用の積立制度です。最大のメリットは「掛金が全額所得控除になること」です。
節税効果の例:
- 年収500万円の会社員が月1.5万円積み立てる場合
- 年間掛金:18万円が所得控除
- 所得税率20%として:所得税36,000円節税
- 住民税10%として:住民税18,000円節税
- 合計年間54,000円の節税効果
毎月1.5万円の積み立てで、節税だけで月4,500円相当のお得になる計算です。さらに運用益も非課税。受け取り時にも税制優遇があります。
注意点: 60歳まで引き出せないため、老後資金としての位置づけが必要です。
掛金上限(月額):
- 企業年金なしの会社員:23,000円
- 自営業・フリーランス:68,000円
- 公務員:12,000円
方法2:新NISA
2024年からリニューアルされた新NISAは、投資の運用益・売却益が永続的に非課税になる制度です。iDeCoと異なりいつでも売却できる柔軟性があります。
新NISAの概要(2024年〜):
- 非課税投資枠:年360万円(つみたて投資枠120万円 + 成長投資枠240万円)
- 生涯非課税限度額:1,800万円
- 非課税期間:永続(制限なし)
- 引き出し:いつでも可能
老後資金としての長期積み立てに最適です。毎月3万円を30年間積み立て、年利5%で運用できた場合、約2,500万円になる計算です。
つみたて投資枠のおすすめ商品:
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー):信託報酬年0.06%程度
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500):同上
方法3:副業・資産収入で現役時代に稼ぐ
副業で年間30〜100万円の追加収入を得ることで、老後資金の不足額を埋めることができます。
また、「老後も少しだけ働き続ける」という選択肢も有効です。65歳以降でも週に数日程度働くことで、月5〜10万円の収入を確保できれば、年金との組み合わせで生活費の大部分を賄えます。「稼ぐ力を維持すること」自体が、最強の老後対策の一つです。
年金の繰り下げ受給戦略
65歳受給と70歳繰り下げの比較:
| 項目 | 65歳受給 | 70歳繰り下げ |
|---|---|---|
| 月額(例) | 15万円 | 21.3万円(42%増) |
| 増加額 | — | 月6.3万円増 |
| 65〜70歳の収入 | 年金あり | 年金なし(副業・貯蓄で補う) |
| 85歳時点での累計受給額 | 3,600万円 | 3,813万円 |
70歳まで元気に働ける見通しがある方には、繰り下げ受給戦略が長期的に有利になるケースが多いです。
老後準備の年代別行動プラン
30代:まず始めることが最優先
- 今月から: NISAまたはiDeCoのどちらか1つを始める
- 1年以内: 両方を最大限活用できる積み立て額を設定する
- 3年以内: 副業・スキルアップで収入の柱を増やす
30代から月3万円を年利5%で40年間運用すると、約4,500万円になる計算です。
40代:本格的に老後計画を立てる
- ねんきんネットで自分の受給予測額を確認する
- iDeCoとNISAの掛金・投資額を最大化する
- 65歳以降の生活費を具体的にシミュレーションする
50代:資産の最終確認と調整
- 老後に必要な金額と現在の資産・将来の年金額を比較する
- 繰り下げ受給をするか否かを検討し始める
- 住宅ローンの完済時期と老後の住居コストを確認する
老後準備チェックリスト
今すぐできることから確認しましょう。
- ねんきんネットに登録して受給予測額を確認した
- 老後の月々の生活費の目標額を設定した
- iDeCoに加入した(または加入を検討した)
- 新NISAでの積み立てを始めた
- 老後も続けられる副業・スキルの強化を検討した
まとめ
老後の準備は「早く始めるほど有利」です。
- 30歳から月3万円積み立て(年5%運用) → 60歳で約2,000万円
- 40歳から月3万円積み立て(年5%運用) → 60歳で約990万円
- 50歳から月3万円積み立て(年5%運用) → 60歳で約470万円
10年早く始めるだけで、老後資金が2倍以上変わってきます。
今日からやること:
- ねんきんネットで自分の年金受給額を確認する
- iDeCoまたは新NISAで老後資金の積み立てを始める
- 毎年「老後の計画」を見直す習慣をつける
老後の準備は「いつか始める」ではなく「今日始める」ものです。
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