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フリーランスの契約書作成ガイド|トラブルを防ぐ契約書の必須項目

暮らしとお金のカフェ 編集部

フリーランスが使う契約書の作り方を解説。業務委託契約書に必要な項目・よくあるトラブル事例と対策・契約書テンプレートの入手方法を紹介します。

この記事でわかること

フリーランスが使う契約書の作り方を解説。業務委託契約書に必要な項目・よくあるトラブル事例と対策・契約書テンプレートの入手方法を紹介します。

契約書がないと多大なリスクがある

フリーランスとして仕事をする際に「口頭でOKしたから」「メールでやり取りしたから大丈夫」と契約書を省略すると、大きなリスクを抱えることになります。

フリーランスのトラブル実態(フリーランス実態調査参考):

  • フリーランスの約60%がトラブルを経験したことがある
  • 最も多いトラブルは「報酬の未払い・遅延」(約40%)
  • 次に多いのが「作業範囲の認識相違」「追加作業の無償要求」

これらのトラブルのほとんどは、契約書があれば防げる、または被害を最小限にできるものです。

「契約書を求めることは相手を疑うことにならないか?」と心配する方もいますが、プロの仕事として当然のことです。「双方のために記録を残したい」という姿勢で提案すれば、むしろ信頼感が上がります。

業務委託契約書の必須項目

基本情報(契約の前提)

まず、誰と誰が何の契約をするかを明確にします。

記載すべき基本情報:

  • 委託者(クライアント)の氏名・住所・会社名(法人の場合)
  • 受託者(フリーランス)の氏名・住所・屋号(あれば)
  • 契約締結日
  • 契約期間(開始日〜終了日・または月次更新の場合はその旨)

業務内容(最重要項目)

業務の範囲を具体的かつ明確に記載します。曖昧な記載が最もトラブルの元になります。

悪い例(曖昧): 「Webサイトのデザインを担当する」

良い例(明確): 「○ページ構成のWebサイトのデザイン制作(PC版・スマートフォン版各1パターン)。トップページ・会社概要・サービスページ・お問い合わせページの4ページとする」

業務内容に含めるべき詳細:

  • 具体的な成果物の種類と数量
  • 対応するOSや環境(Webデザインならブラウザ・デバイス指定)
  • 業務の対象範囲(「どこまでやるか」「どこからはやらないか」)

報酬・支払い条件

お金に関わる項目は最も詳細に記載します。

記載すべき報酬・支払い条件:

項目 記載例
報酬額 月額○○円(税別)または1件○○円(税込)
支払い期日 毎月○日締め翌月○日払い
支払い方法 銀行振込(振込手数料はクライアント負担)
消費税の扱い 別途請求する(インボイス対応の場合は登録番号も記載)
延滞金 支払いが遅延した場合、年利○%の延滞損害金を請求できる

インボイス制度(2023年10月〜)への対応:

  • 登録インボイス事業者であれば、契約書に適格請求書発行事業者登録番号(Tから始まる番号)を記載
  • 免税事業者の場合も、その旨を明示しておくと誤解が生まれにくい

納品物・修正回数・検収期間

「修正は何回でもやってもらえると思っていた」というトラブルを防ぐために明記します。

記載例:

  • 納品物:PNG形式のデザインファイル(実寸・2倍解像度)+Figmaの編集ファイル
  • 修正回数:契約金額内で3回まで無償対応。それ以上は1回あたり○○円で有償対応
  • 検収期間:納品後7日以内(検収期間内に連絡がない場合は検収完了とみなす)
  • 追加費用が発生する条件:仕様変更・ページ追加・コンセプト変更等

著作権・知的財産権の帰属

フリーランスが制作した成果物の著作権の帰属を明確にします。ここを曖昧にすると、後から「著作権はこちらにある」というトラブルになることがあります。

著作権の帰属パターン:

パターン 内容 適用シーン
報酬支払い後にクライアントへ譲渡 完全にクライアントのものになる 一般的な納品案件
フリーランスが保有・クライアントに使用ライセンス付与 フリーランスが著作権を持ち続ける ポートフォリオ活用したい場合など

どちらにするかをクライアントと合意の上、明記します。

秘密保持義務(NDA)

業務で知り得たクライアントの機密情報(顧客リスト・戦略・未公開情報等)を外部に漏らさない義務を記載します。

NDAに含める内容:

  • 秘密情報の定義(何が機密情報にあたるか)
  • 秘密保持の期間(契約終了後○年間等)
  • 違反した場合のペナルティ

クライアントから別途「NDA(秘密保持契約書)」に署名を求められる場合もあります。

再委託・外注の可否

「下請けに出していいか」について取り決めます。

  • 再委託可: フリーランスが別の人に一部の仕事を外注してよい
  • 再委託不可: フリーランスが自ら全ての作業を行う義務がある

デザイン・ライティングなど専門性が高い仕事では「再委託不可」と求められることが多いです。

契約解除・解約の条件

どんな場合に契約を終了できるかを明記します。

記載例:

  • 双方が1ヶ月前に書面で通知した場合に解除可能
  • 報酬の未払いが○日以上続いた場合、受託者から即時解除できる
  • 一方が契約違反をした場合、相手方が催告の上解除できる
  • プロジェクト途中で解除された場合の成果物の扱いと報酬の取り決め

よくあるトラブルと対策

トラブル1:報酬の未払い・遅延

状況: 納品後に支払いがされない。催促しても「確認中」「今月は難しい」が続く。

対策:

  • 契約書に「支払い期日」と「延滞金(年○%)」を明記
  • 請求書は期日の1〜2週間前に送る
  • 期日を過ぎたら内容証明郵便で催告する
  • 少額訴訟(60万円以下)や内容証明→支払督促という法的手段も選択肢

トラブル2:追加作業の無償要求

状況: 「ちょっとこれも直してほしい」が積み重なり、気づけば大幅に作業が増えていた。

対策:

  • 業務範囲と修正回数を契約書に明記
  • 範囲外の作業は「○○円で対応します」と明確に提示
  • 口頭で「いいですよ」と言わず、「見積もりを送ります」を徹底

トラブル3:完成前の一方的な契約解除

状況: 「やっぱりやめます」と言われ、途中まで作業した分が無償になった。

対策:

  • 「途中解除時の報酬」を契約書に明記(例:作業進捗60%なら報酬の60%を請求できる)
  • プロジェクト開始時に「着手金(前払い)」を受け取る

トラブル4:著作権・成果物の無断転用

状況: 納品した写真・文章・デザインが、契約と異なる用途で使用されていた。

対策:

  • 著作権の帰属と使用範囲・用途を契約書に明記
  • 「使用ライセンス(範囲・期間・媒体)」を具体的に記載

契約書テンプレートの入手方法

無料で入手できる信頼できるソース

政府・公的機関:

  • 内閣府・経済産業省のフリーランス向け資料:フリーランス保護新法(2024年〜)に対応した標準契約書のひな型
  • フリーランス協会:会員向けに契約書テンプレートを提供

法律系プラットフォーム:

  • 弁護士ドットコム(クラウドサイン):業種別の契約書テンプレートを無料公開
  • BUSINESS LAWYERS:法務系メディアが提供するテンプレート

重要: テンプレートはあくまでも参考です。案件の内容・クライアントとの条件に合わせてカスタマイズが必要です。重要な案件(高額・機密性が高い)は弁護士への相談を検討しましょう。

電子契約の活用

印鑑・紙不要で契約書を交わせる電子契約サービスが普及しています。

主な電子契約サービス:

サービス名 特徴 料金目安
クラウドサイン 日本最大手・使いやすい 送信1件100円〜(無料プランあり)
GMOサイン コストパフォーマンスが高い 月額1,100円〜
DocuSign 国際案件に強い 月額2,000円〜
Adobe Acrobat Sign Adobeユーザーに便利 プランによる

電子契約のメリット:

  • 郵送・押印の手間がなくなる
  • 締結までのスピードが上がる(数分で完了することも)
  • 紛失・改ざんのリスクが低い
  • 法的証拠として有効(改ざん防止機能あり)

クライアントへ電子契約を提案することで、「手続きが楽で素早い」という好印象も生まれます。

フリーランス保護新法(2024年〜)の概要

2024年11月に施行された「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス保護新法)」により、フリーランスへの発注側に新しいルールが設けられました。

発注企業に求められる主な義務:

  • 業務内容・報酬額・支払い期日等を書面またはデジタルで明示する義務
  • 支払い期日は成果物受領後60日以内に設定
  • ハラスメント対策の整備
  • 一定期間以上の継続的取引では30日前の解除予告

これにより、フリーランスが「契約書を求めること」がより自然な権利として認められました。

まとめ

フリーランスは会社員と違い、自分の仕事の条件を自分で守る必要があります。契約書を作ることは最も基本的な自己防衛策です。

契約書に必ず記載すべき項目:

  1. 当事者情報(委託者・受託者の基本情報)
  2. 業務内容(具体的・明確に)
  3. 報酬額・支払い条件
  4. 納品物・修正回数・検収期間
  5. 著作権の帰属
  6. 秘密保持義務
  7. 契約解除の条件

最初は面倒に感じますが、一度テンプレートを作ってしまえば、次回からはカスタマイズして使い回せます。まずはフリーランス協会や経産省のテンプレートを参考に、自分用の契約書を作成してみましょう。契約書を用意することは、プロフェッショナルとしての信頼を高めることにもつながります。

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