外国税額控除の仕組みと使い方|海外投資・外国株の二重課税を取り戻す
外国税額控除の仕組み・確定申告での申請方法・米国株・海外ETFの配当税を取り戻す方法を解説。二重課税になりがちな海外投資の税金を正しく申告して還付を受けるポイントを紹介します。
✓この記事でわかること
外国税額控除の仕組み・確定申告での申請方法・米国株・海外ETFの配当税を取り戻す方法を解説。二重課税になりがちな海外投資の税金を正しく申告して還付を受けるポイントを紹介します。
外国税額控除の仕組みと使い方|海外投資・外国株の二重課税を取り戻す
米国株・海外ETFの配当には、現地(外国)で課税された後に日本でも課税される「二重課税」が発生することがあります。外国税額控除を申告することで、この二重課税の一部を取り戻せます。知らないと毎年数千〜数万円を損していることもあるので、ぜひ最後まで読んでみてください。
二重課税の問題:なぜ2回税金がかかるのか
米国株配当の場合
米国株式の配当は、まず米国で源泉徴収税(通常10%)が差し引かれます。残額が日本の証券口座に入金される際、さらに日本でも20.315%の税金がかかります。
100ドルの配当の場合、税金がかかる流れ:
| 段階 | 内容 | 金額 |
|---|---|---|
| 配当発生 | 米国企業から配当100ドル | 100ドル |
| 米国源泉税(10%)控除 | 米国で差し引かれる | -10ドル |
| 日本への送金額 | 口座に届く前の金額 | 90ドル |
| 日本の税金(20.315%) | 90ドル×20.315% | -約18.3ドル |
| 手取り配当 | 最終的な受取額 | 約71.7ドル |
外国税額控除がなければ、配当の約28.3%が税金で取られる計算になります。
外国税額控除の効果
外国税額控除を申告することで、外国で支払った税金(10ドル)の一部または全部を日本の税金から控除できます。
控除後のイメージ:
- 日本の税金:約18.3ドル
- 外国税額控除:10ドルを控除
- 実際に納める日本の税金:約8.3ドル(理論上の最大控除の場合)
結果として、外国での課税分が日本の税金と重複しないよう調整されるのが外国税額控除の本質です。
外国税額控除の対象となる投資
適用できる投資の種類
対象になりやすい投資:
- 米国株式の配当: 米国で通常10%が源泉徴収
- 海外ETFの配当(米国上場ETF): 配当に10%の源泉税
- 外国投資信託の分配金: ファンドが外国税を支払った場合(信託報告書で確認)
- その他の国の株式配当: 国・租税条約によって税率が異なる
主要国の源泉税率(租税条約適用後):
| 国 | 株式配当への源泉税率 |
|---|---|
| 米国 | 10%(租税条約で軽減後) |
| 英国 | 0%(配当に源泉税なし) |
| ドイツ | 15% |
| フランス | 15% |
| 韓国 | 15% |
適用できない場合
以下の場合は外国税額控除の申告ができません:
- NISA口座での外国株・ETF保有: NISA内では非課税のため、確定申告の対象外
- 特定口座のまま確定申告しない場合: 控除を受けるためには確定申告が必要
- 外国税が発生していない投資: 英国株など源泉税がかからない国の株式
外国税額控除の申告方法:ステップバイステップ
前提:特定口座(源泉徴収あり)でも確定申告が必要
特定口座(源泉徴収あり)を選んでいる場合、通常は確定申告が不要です。ただし、外国税額控除を受けるためには確定申告が必要になります。
「特定口座を選んでいるから確定申告しなくていい」と思っていた方も、外国税額控除のためには年に1回の確定申告が必要です。
必要な書類
確定申告に必要な書類を事前に準備しましょう。
必要書類リスト:
- 特定口座年間取引報告書: 証券会社から1〜2月に郵送またはオンラインで確認できる
- 外国所得税の額が記載された書類: 上記の取引報告書に「外国所得税の額」として記載
- マイナンバーカードまたは身分証明書(e-Tax利用時)
- 給与所得者の場合: 源泉徴収票
e-Taxでの入力手順
Step1:e-Tax(国税庁の確定申告書作成コーナー)にアクセス マイナンバーカード+スマートフォンでログイン(または利用者識別番号でログイン)
Step2:確定申告書の種類を選択 「給与所得がある方(会社員)」または「申告分離課税・株式等」を選択
Step3:株式等の譲渡所得・配当所得を入力 証券会社の「特定口座年間取引報告書」のデータをもとに入力(CSV取り込みできる証券会社もある)
Step4:外国税額控除の欄を入力 「外国税額控除」の入力画面で、以下を記入:
- 外国所得税を納めた国名(例:アメリカ合衆国)
- 所得の種類(配当など)
- 外国所得税の額(取引報告書の「外国所得税の額」欄の数字)
Step5:控除額の確認と申告 入力が完了すると、外国税額控除額が自動計算されます。控除限度額の範囲内で控除が適用されます。
申告の締め切りと注意点
- 確定申告の期間: 毎年2月16日〜3月15日(延長される年もある)
- e-Tax(オンライン): 24時間いつでも申告可能
- 書面提出: 税務署に持参または郵送
年末(12月〜1月)には証券会社から「特定口座年間取引報告書」が送付されるので、届いたら大切に保管しておきましょう。
控除限度額の計算:重要な仕組み
控除限度額とは
外国税額控除には「控除限度額」があります。外国で支払った税金の全額が控除できるわけではなく、計算式によって上限が決まります。
控除限度額の計算式(概略):
控除限度額 = 所得税額 × (国外所得金額 ÷ 所得合計額)
所得に占める海外投資の割合が高いほど、控除できる金額が大きくなります。
控除限度額を超えた外国税の繰越
控除限度額を超えた外国税は、その年に全額控除できない場合があります。この場合、翌年以降3年間繰越控除することができます。
繰越控除が活用できるケース:
- 海外投資の割合が高く、国内の税負担が少ない場合
- 年間の外国税額が控除限度額を上回る場合
実際の計算例で確認する
ケース:会社員が米国ETFから配当を受け取る場合
前提条件:
- 年収500万円の会社員(給与所得者)
- 米国ETF(VTI)から年間配当100ドル(約15,000円)を受取
- 米国で源泉徴収10ドル(約1,500円)が差し引かれた
外国税額控除なしの場合:
- 米国源泉税:1,500円(すでに差し引き済み)
- 日本の税金:15,000円×20.315%=約3,047円
- 合計税負担:1,500円+3,047円=約4,547円
外国税額控除ありの場合(確定申告で申請):
- 日本の税金:約3,047円
- 外国税額控除:-1,500円
- 実際の納税額:約1,547円
- 米国源泉税との合計:1,500円+1,547円=約3,047円
節税効果: 4,547円-3,047円=1,500円の節税(外国税額全額を控除できた場合)
この1,500円という金額は小さく見えますが、保有額が増えれば効果も大きくなります。年間外国税額が1万円なら1万円、5万円なら最大5万円の節税につながります。
外国税額控除を使う際の注意点
申告分離課税を選択する必要がある
外国株式の配当を確定申告する際は、「申告分離課税」を選択することで外国税額控除が適用できます。
総合課税と申告分離課税の選択:
- 所得が少ない方(税率15%以下): 総合課税が有利な場合もある
- 所得が多い方(税率が高い): 申告分離課税(20.315%)が有利
自分の所得に合わせて、どちらが有利かを計算した上で選択しましょう。
住民税の申告不要制度に注意
2023年まで「確定申告で申告分離課税を選んでも住民税は申告不要にできる」制度がありましたが、2024年分から廃止されています。確定申告すると住民税にも影響するため、全体の税負担を計算した上で申告するかを判断しましょう。
少額の場合は費用対効果を考える
外国税額控除の申告には時間と手間がかかります。少額の外国税の場合、取り戻せる金額が小さく、手間に見合わないケースも。
申告を検討する目安:
- 外国税額が年間5,000円以上になる場合は申告する価値がある
- 米国ETFの保有額が50万円以上になってきたら検討し始めるのが目安
NISAでは使えない
NISA口座で保有している外国株・ETFの場合、日本での非課税メリットがある分、外国税額控除の確定申告はできません。
NISA口座での外国ETFと外国税額控除の関係:
- 日本の税金はゼロ(非課税)
- 外国源泉税(米国10%)は差し引かれたまま戻らない
- これはNISAの「ほぼ全ての利益が非課税」というメリットと引き換えのコスト
外国税額控除を活用すべき人はこんな人
以下に当てはまる方は、外国税額控除の確定申告を積極的に検討しましょう。
積極的に申告すべき方:
- 米国ETF(VTI・VOO・SPYなど)を特定口座で保有している
- 米国株の配当収入が年間3万円以上ある
- e-Tax(確定申告オンライン)の経験があり手続きに慣れている
- 外国税額が年間5,000円以上になっている
様子見でもよい方:
- 海外投資をNISA口座のみで行っている
- 外国税額が年間1,000〜2,000円程度の少額
- 確定申告の手続きに自信がなく、税理士相談も難しい
まとめ
外国税額控除は「二重課税の解消」という正当な権利です。特に米国ETF・株式に投資している方は、確定申告で外国税額控除を申告することで、毎年取り戻せる税金があります。
まずすべきこと:
- 証券会社から届く「特定口座年間取引報告書」の「外国所得税の額」欄を確認する
- 外国税額が5,000円以上なら確定申告を検討する
- e-Taxで「外国税額控除」の欄に金額を入力する
難しそうに感じるかもしれませんが、e-Taxの画面に沿って入力するだけで完了します。初回は少し時間がかかっても、翌年からはスムーズにできるようになります。
「知らなかったから損していた」をなくすために、ぜひ来年の確定申告シーズンに挑戦してみてください。
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