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相続・資産承継の基本計画|遺言書・生前贈与・信託の活用方法

暮らしとお金のカフェ 編集部

資産を次世代にスムーズに引き継ぐためのエステートプランニング(相続・資産承継計画)の基本を解説。遺言書の作成方法・生前贈与の活用・家族信託・エンディングノートまで、知らないと損する相続対策を紹介します。

この記事でわかること

資産を次世代にスムーズに引き継ぐためのエステートプランニング(相続・資産承継計画)の基本を解説。遺言書の作成方法・生前贈与の活用・家族信託・エンディングノートまで、知らないと損する相続対策を紹介します。

こんにちは、暮らしとお金のカフェへようこそ。お金の使い方と将来設計のヒントをお届けします。

「相続は自分には関係ない」——そう思っている方でも、財産を次世代にスムーズに引き継ぐ準備は、今から始めておくことに大きな意味があります。 準備なしに突然相続が発生すると、手続きの複雑さ・税負担・家族間のトラブルという3つの問題が同時に押し寄せます。今回は、遺言書・生前贈与・家族信託・エンディングノートという4つの手段を使った「資産承継計画」の基本を解説します。

相続の準備をしないとどうなるか

まず、事前準備がない場合の具体的なリスクを把握しましょう。

遺言書がない場合の3つのリスク:

リスク 具体的な状況
遺産分割協議の長期化 相続人全員が合意するまで相続手続きが進まない——数ヶ月〜数年かかることも
不動産の分割問題 1つの不動産を複数人で分けるのは難しく、共有名義になりがち
家族間のトラブル(争族) 意見の対立が感情的な争いに発展し、家族関係が壊れることも

相続手続きで必要な期限:

手続き 期限
相続放棄の申請 相続を知った日から3ヶ月以内
確定申告 死亡から4ヶ月以内
相続税の申告・納税 死亡から10ヶ月以内

準備なしに突然直面すると、時間的・精神的に大きな負担になります。「まだ早い」と思う方ほど、今から少しずつ準備を始めることが重要です。

遺言書:2種類の特徴と選び方

遺言書は「誰に何を引き継ぐか」を法的に残す最も重要な準備です。

遺言書の2種類の比較:

項目 自筆証書遺言 公正証書遺言
作成方法 本人が全文手書き 公証役場で公証人が作成
費用 ほぼゼロ(法務局保管:3,900円) 遺産額により異なる(最低9,000円程度)
確実性 形式ミスで無効のリスクあり 確実・無効になりにくい
紛失・偽造リスク あり(自宅保管の場合) なし(公証役場に原本保管)
家庭裁判所の検認 必要(法務局保管なら不要) 不要
おすすめな人 シンプルな家族構成・財産が少ない 財産が多い・家族関係が複雑

自筆証書遺言:法務局保管制度を活用

2020年から始まった「法務局保管制度」を使うと、手数料3,900円で自筆証書遺言を法務局に保管してもらえます。

メリット:

  • 紛失・偽造のリスクがなくなる
  • 家庭裁判所の検認が不要になる
  • 費用が安く、自分で作れる

有効にするための要件:

  • 全文・日付・氏名を自筆で書く(財産目録はパソコン可)
  • 必ず押印する(認印可)
  • 日付は正確に(「吉日」などはNG)

公正証書遺言:最も確実な方法

財産が多い・家族関係が複雑・確実に遺言を残したい場合は公正証書遺言が安心です。

費用の目安(公証人手数料):

遺産額 手数料目安
300万円未満 9,000円
3,000万円 23,000〜29,000円程度
1億円 43,000〜56,000円程度

公証人手数料に加え、証人2人(立会人)が必要です。弁護士や司法書士に依頼すると別途費用がかかりますが、安心して任せられます。

生前贈与:年110万円の非課税枠を活用する

生前贈与は、相続財産を生前に移転することで相続税の負担を事前に減らす有効な方法です。

年110万円の暦年贈与

贈与税には年間110万円の基礎控除があります。この範囲内であれば贈与税がかかりません。

贈与税の計算例:

  • 年間100万円の贈与 → 課税なし
  • 年間200万円の贈与 → (200万円-110万円)×10% = 9万円の贈与税

長期的に贈与すると節税効果が大きい:

期間 年間贈与 累計移転額
10年間 110万円 1,100万円
20年間 110万円 2,200万円
30年間 110万円 3,300万円

これだけの財産を非課税で次世代に移転できます。

2024年の税制改正に注意: 2027年以降は「相続前7年以内の贈与は相続財産に加算」されるルールになります(改正前は3年)。早めに贈与を開始することが、長期的な節税効果を高めます。

特例贈与:教育・住宅・結婚子育て

特定の目的の贈与には、110万円を超える非課税枠があります。

特例 非課税限度額 条件
教育資金一括贈与 1,500万円(学校等) 30歳未満の子・孫への教育資金
住宅資金贈与 最大1,000万円 省エネ住宅等の購入資金
結婚・子育て資金 1,000万円 18〜50歳未満の子・孫へ

特例は適用条件・期限があります。利用する際は税理士に確認することをおすすめします。

家族信託:認知症対策の切り札

家族信託は、認知症リスクに備えた資産管理の最新手段として注目されています。

家族信託とは

自分の財産の管理・処分を、信頼できる家族(受託者・多くは子ども)に委ねる制度です。

なぜ必要か:

  • 認知症になると銀行口座が凍結される(本人の判断能力がなくなるため)
  • 口座が凍結されると家族が預金を引き出せず、生活費・施設費用の支払いができない
  • 裁判所主導の「成年後見制度」より、家族信託の方が柔軟に財産を管理できる

家族信託のメリット:

メリット 内容
認知症後も口座が使える 子どもが受託者として親の財産を管理できる
不動産の柔軟な管理 売却・賃貸管理を親が元気なうちに子どもに委ねられる
生前から機能する 遺言と違い、亡くなる前から機能する
二次相続まで対応 「子が亡くなったら孫へ」という指定もできる

家族信託の設定手順:

  1. 信託する財産・管理方法を決める(例:不動産・預金)
  2. 受託者(子どもなど)と信託契約書を作成する(司法書士・弁護士に依頼が安全)
  3. 信託口口座を開設する(専用の銀行口座)
  4. 不動産がある場合は信託登記を行う

設定費用の目安: 司法書士費用20〜50万円程度(財産の複雑さによる)

重要: 家族信託は「元気で判断能力のある間」にしか設定できません。認知症になってからでは遅いため、60〜70代のうちに検討を始めることをおすすめします。

エンディングノート:家族への「情報伝達ノート」

遺言書が法的文書であるのに対し、エンディングノートは法的効力はないものの、家族が困らないための情報まとめとして非常に重要です。

エンディングノートに記載すべき内容:

分類 記載内容
金融資産 銀行口座・証券口座・保険の一覧(金融機関名・口座番号)
不動産 土地・建物の所在地・登記情報
負債 ローン・クレジットカード残高
デジタル遺産 SNSアカウント・ネット銀行・ID・パスワード管理方法
葬儀の希望 葬儀の規模・宗教・納骨場所
医療の希望 延命治療の希望・臓器提供の意思
家族へのメッセージ 感謝・思い・伝えたいこと

デジタル遺産への対応: 近年増加しているのが、亡くなった後のSNSアカウント・ネット銀行・仮想通貨などの「デジタル遺産」問題です。パスワード管理の方法と担当する家族を決めておきましょう。

専門家への相談:誰に頼むべきか

相続・資産承継は複雑な法律・税金が絡みます。専門家への相談を検討しましょう。

専門家の役割分担:

専門家 主な役割
税理士(相続専門) 相続税の計算・節税対策・生前贈与の設計
司法書士 遺言書作成・不動産登記・家族信託の設定
弁護士 遺産分割トラブルの解決・法的アドバイス
行政書士 遺言書作成・相続手続きサポート

まとめ

  1. 遺言書は「公正証書遺言」が最も確実——財産が多い・家族関係が複雑な場合は必須。自筆の場合は法務局保管制度(3,900円)を活用する
  2. 年110万円の暦年贈与を早めに開始する——2027年以降は相続前7年以内の贈与が加算されるルールに変わるため、今すぐ開始することが節税効果を最大化する
  3. 家族信託は認知症対策の切り札——60〜70代の元気なうちに設定しておかないと手遅れになる。司法書士への依頼費用は20〜50万円程度
  4. エンディングノートで銀行口座・保険・デジタル遺産の情報を整理する——法的効力はないが家族が最も助かる情報まとめ
  5. 「まだ早い」と思うほど早めに動く——相続対策は時間をかけるほど選択肢が広がり、節税効果も大きくなる

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