フリーランスの年金は3階建てで考える|国民年金基金・iDeCo・付加年金の使い分け
国民年金だけでは老後が不安、でも何から積み増せばいいか分からない——そんなフリーランスのために、付加年金・国民年金基金・iDeCoの違いと組み合わせ方を、掛金と節税効果の数字で整理します。
✓この記事でわかること
国民年金だけでは老後が不安、でも何から積み増せばいいか分からない——そんなフリーランスのために、付加年金・国民年金基金・iDeCoの違いと組み合わせ方を、掛金と節税効果の数字で整理します。
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2026年6月19日 制度改正確認済み
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こんにちは。今日も「暮らしとお金のカフェ」へようこそ。
会社員からフリーランスになって最初にひやっとするのが、年金の話ではないでしょうか。会社員には国民年金(1階)の上に厚生年金(2階)が自動で乗っていますが、フリーランス(国民年金の第1号被保険者)は放っておくと1階部分しかありません。国民年金の老齢基礎年金は満額でも年間約83万円、月にすると7万円弱です(金額は年度ごとに改定されます)。これだけで老後の生活を組み立てるのは、正直かなり厳しい。
「だから不安」で止まってしまう人が多いのですが、実はフリーランスには自分で2階・3階を作るための専用の制度がきちんと用意されています。付加年金、国民年金基金、iDeCo(個人型確定拠出年金)。どれも掛金が全額所得控除になるという、ただの貯金や投資にはない強力な税制メリットつきです。
この記事では、3つの制度を「3階建ての家」にたとえて整理し、どれをどの順番で・いくら積むかの考え方を、具体的な数字で解説します。なお、制度の内容は2026年6月時点のものです。掛金額や加入条件は改定されることがあるため、最新情報は厚生労働省の公式サイトで確認してください。
フリーランスの年金「3階建て」の全体像
まず、自分がどの階まで持っているかを把握しましょう。
| 階層 | 会社員 | フリーランス(第1号) | 性格 |
|---|---|---|---|
| 1階 | 国民年金 | 国民年金 | 全員共通の土台。終身でもらえる |
| 2階 | 厚生年金(自動加入) | 付加年金 or 国民年金基金(任意) | 公的な上乗せ。自分で選んで作る |
| 3階 | 企業年金・iDeCoなど | iDeCo・小規模企業共済(任意) | 私的な上乗せ。運用次第で増減 |
ポイントは2つあります。
1つ目、フリーランスの2階・3階はすべて任意加入。 誰も自動で積んでくれません。逆に言えば、制度を知って動いた人とそうでない人で、老後の受取額に大きな差がつきます。
2つ目、上乗せ制度には「合算の枠」がある。 国民年金基金とiDeCoの掛金は合計で月68,000円までという共通の枠を使います(2026年6月時点)。さらに付加年金と国民年金基金は併用できません。つまり「全部盛り」はできず、どう配分するかが腕の見せどころになります。
ちなみに、老後資金の目標額そのものの考え方は老後資金2000万円問題の現実的な向き合い方で詳しく解説しています。「いくら必要か」を先に押さえると、この後の配分の話がぐっと現実的になりますよ。
3つの制度を横並びで比較する
それぞれの制度の特徴を一覧にしました。まずこの表で全体をつかんでください。
| 項目 | 付加年金 | 国民年金基金 | iDeCo |
|---|---|---|---|
| 掛金 | 月400円固定 | 月最大68,000円(口数制) | 月5,000円〜68,000円 |
| 受取額 | 200円×納付月数/年(終身) | 加入時に確定(終身中心) | 運用成績で変動 |
| 増える仕組み | 固定(物価連動なし) | 予定利率で確定 | 投資信託等の運用次第 |
| 税制(拠出時) | 全額社会保険料控除 | 全額社会保険料控除 | 全額小規模企業共済等掛金控除 |
| 受取開始 | 65歳(国民年金と一緒) | 原則65歳(型による) | 60〜75歳の間で選択 |
| 中途引き出し | 不可 | 不可(脱退しても受取は将来) | 原則60歳まで不可 |
| 併用関係 | 国民年金基金とは併用不可 | 付加年金とは併用不可 | どちらとも併用可(枠は基金と共有) |
文字にすると複雑に見えますが、性格づけはシンプルです。
- 付加年金=月400円のワンコイン上乗せ。コスパの怪物
- 国民年金基金=額が確定する安心型。終身の土台を厚くする
- iDeCo=運用で増やす成長型。インフレへの備えにもなる
付加年金:月400円で「2年で元が取れる」ワンコイン制度
最初に検討してほしいのが付加年金です。国民年金保険料に月400円を上乗せして払うと、65歳から「200円×納付月数」が毎年、終身で受け取れます。
具体的に計算してみましょう。30歳から60歳まで30年(360ヶ月)納めた場合:
- 払う総額:400円 × 360ヶ月 = 144,000円
- 受け取る額:200円 × 360ヶ月 = 年72,000円(終身)
つまり、受給開始から2年で払った分を回収し、3年目以降は長生きするほどプラスになります。これほど回収が早い公的制度は他にありません。月400円なのでインパクトは小さいものの、「やらない理由を探す方が難しい」制度と言えます。
注意点は2つ。国民年金基金と併用できないこと、そして付加年金に加入するとiDeCoの掛金上限が月67,000円になる(1,000円単位の調整のため)ことです。申し込みは市区町村の窓口で、手続きは10分程度で終わります。
国民年金基金 vs iDeCo:安心の確定か、成長の運用か
2階・3階の主役となる2つの制度。月68,000円の共通枠をどう配分するかは、次の判断軸で考えます。
国民年金基金が向いている人
- 受取額が確定していないと不安な人
- 終身年金(生きている限りもらえる)の割合を厚くしたい人
- 運用の上下に気持ちが揺さぶられたくない人
国民年金基金は加入時に将来の受取額が確定します。1口目は終身年金で、掛金は年齢・性別・型によって変わります。確実性が魅力ですが、固定金利型ゆえにインフレに弱いこと、途中で任意に脱退して現金化することはできないことは理解しておきましょう。
iDeCoが向いている人
- 受取まで20年以上ある30〜40代
- 投資信託の長期積立に抵抗がない人
- 節税しながらインフレにも備えたい人
iDeCoは自分で商品(投資信託・定期預金など)を選んで運用し、成果次第で受取額が変わります。低コストの全世界株式型・米国株式型インデックスファンドを長期で積み立てるのが王道とされますが、元本割れの可能性はゼロではありません。「必ず増える」とは言えないからこそ、長い時間を味方につけられる人ほど有利な傾向があります。長期の資産形成の考え方は「人生100年時代」の資産形成で本当に必要な考え方もあわせてどうぞ。
なお、2026年6月時点で、iDeCoは拠出限度額の引き上げや加入可能年齢の拡大といった制度改正が予定・議論されています。加入前に必ず公式サイトで最新の条件を確認してください。
節税効果はどれくらい?所得別シミュレーション
3つの制度に共通する最大の魅力が、掛金が全額所得控除になることです。「老後資金を積みながら、今年の税金も減る」——これは普通の貯金やNISAにはない特典です。
iDeCoに月3万円(年36万円)拠出した場合の節税額の目安を見てみましょう(所得税率+住民税率10%で概算。復興特別所得税等は省略)。
| 課税所得 | 適用税率(所得税+住民税) | 年間の節税額の目安 |
|---|---|---|
| 200万円 | 約20%(10%+10%) | 約72,000円 |
| 400万円 | 約30%(20%+10%) | 約108,000円 |
| 700万円 | 約33%(23%+10%) | 約118,800円 |
課税所得400万円の人なら、月3万円の積立で年間約10万円の税負担が軽くなる計算です。「利回り」という言葉を使うなら、拠出した瞬間に節税分のリターンがほぼ確定するイメージに近い(※受取時には課税の仕組みがあるため、出口まで含めて考える必要はあります)。実際の税額は人によって異なるので、あくまで目安としてください。
この節税効果は、青色申告の65万円控除と並ぶフリーランスの二大節税策です。まだ青色申告にしていない方は青色申告で65万円控除を受けるための条件を先にチェックしてみてください。
結局どう組み合わせる?タイプ別モデルプラン
ここまでの内容を、よくある3つのタイプに落とし込みます。
タイプ1:駆け出し・収入がまだ不安定(月の余力〜1万円) → 付加年金400円+iDeCo月5,000円からスタート。iDeCoは最低額でも口座を作って習慣化することに意味があります。収入が伸びたら増額すればOK(年1回変更可能)。
タイプ2:軌道に乗ってきた30〜40代(月の余力3〜5万円) → 付加年金400円+iDeCo月3〜4万円。残りは生活防衛資金とNISAへ。インフレ耐性と節税のバランスが良い、いちばん汎用性の高い形です。
タイプ3:収入安定・確実性重視の40〜50代(月の余力5万円以上) → 国民年金基金で終身部分を確保しつつ、残り枠でiDeCo(例:基金4万円+iDeCo2.8万円)。受取開始までの期間が短いほど、確定型の比率を上げるのが定石です。
迷ったら、「付加年金+iDeCo少額スタート」が最も後悔の少ない初手です。付加年金は後から国民年金基金に乗り換えることもできます(その時点で付加年金は脱退扱い)。
まとめ:フリーランスの年金は「知って動いた人」から厚くなる
ポイントをおさらいします。
- フリーランスの年金は1階(国民年金)しかない。2階・3階は自分で作る
- 付加年金は月400円で受給2年後に元が取れる、最優先で検討すべき制度
- 国民年金基金は「確定の安心」、iDeCoは「運用の成長」。枠は合計月68,000円
- 3制度とも掛金は全額所得控除。課税所得400万円なら月3万円の拠出で年約10万円の節税目安
- 迷ったら「付加年金+iDeCo少額」から。年1回見直せばいい
老後の話は、先送りするほど選択肢が減っていきます。逆に、20代・30代で始めれば月数千円でも複利と税制が味方につきます。
今日やる最初の一歩はこれだけ。市区町村の窓口(または自治体サイト)で、付加年金の加入手続き方法を調べてください。 月400円の手続きが、3階建ての家づくりの着工式です。
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暮らしとお金のカフェ 編集部
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