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法人化のタイミングと手順|個人事業主が会社設立を検討すべき年収目安

暮らしとお金のカフェ 編集部

個人事業主が法人化(会社設立)を検討すべきタイミングと手順を解説。法人化のメリット・デメリット・設立費用・節税効果の計算方法・合同会社vs株式会社の選び方を紹介します。

この記事でわかること

個人事業主が法人化(会社設立)を検討すべきタイミングと手順を解説。法人化のメリット・デメリット・設立費用・節税効果の計算方法・合同会社vs株式会社の選び方を紹介します。

「法人化した方がいい」は本当か?

フリーランスで稼ぎが増えてきたとき、ふと耳にするのが「法人化した方が節税になる」という話。でも実際のところ、誰もが法人化すればトクをするわけではありません。

カフェでよく出る質問がこれです。「売上が上がってきたけど、会社を作るタイミングって、いつなんですかね?」

この記事では、法人化のメリット・デメリット・手順を具体的な数字を使ってお伝えします。「法人化した方がお得かどうか」を判断できるようになりましょう。


法人化すべき年収(所得)の目安

一般的に、個人事業主の課税所得が600〜800万円を超えたタイミングで、法人化の節税メリットが出始めるとされています。

税率の比較

課税所得 個人事業主(所得税+住民税 法人(法人税等)
300万円 約30〜35% 約22〜25%
500万円 約40% 約22〜25%
700万円 約43% 約22〜25%
1,000万円以上 最大55% 約30〜35%

個人事業主は所得が上がるほど税率も上がる「累進課税」ですが、法人の税率はほぼ一定です。所得が高くなるほど、法人化で節税できる金額は大きくなります。

「年収600万円」が一つの目安な理由

所得600万円の個人事業主の場合、所得税・住民税の合計税率は40〜43%程度になります。法人の実効税率は概ね22〜25%なので、同じ所得で年間100〜120万円の節税が可能になることがあります。

ただしこれは単純計算です。実際には社会保険料の増加・税理士費用・法人維持コストなども考慮する必要があります。


法人化の5つのメリット

メリット1:節税の選択肢が格段に増える

法人にすることで、個人事業主では使えなかった節税手段が使えるようになります。

  • 役員報酬:自分に給与として支払うことで給与所得控除(最低55万円)が使える
  • 所得分散:配偶者・家族に役員報酬を支払い、所得を分散できる
  • 退職金制度:法人のみが「役員退職金」を経費計上できる(数百〜数千万円の節税効果)
  • 社宅制度:社宅として賃貸料の一部を法人経費にできる
  • 生命保険の活用:法人契約の保険は経費にできるものがある

メリット2:社会的信用が上がる

「株式会社」という肩書きがあるだけで、取引先・銀行・不動産会社の反応が変わることがあります。

特に大企業・上場企業との取引は、「個人事業主とは取引しない」という社内規定がある場合もあります。法人化することで、取引できる相手の幅が広がるのは大きなメリットです。

メリット3:有限責任になる

個人事業主は「無限責任」で、事業の失敗が個人資産にまで影響します。

株式会社・合同会社は「有限責任」で、出資した金額以上の責任を負いません。事業リスクと個人資産を切り離せることは、精神的にも大きな安心感があります。

メリット4:赤字の繰越期間が長い

個人事業主の赤字繰越は3年ですが、法人は最大10年繰り越せます。設備投資の多い事業では大きなメリットになります。

メリット5:事業継続・承継がしやすい

個人事業主は事業主の死亡で事業が終了しますが、法人は「法人格」として独立して存続します。家族への事業承継や、将来の売却(M&A)もしやすくなります。


法人化の4つのデメリット

デメリット1:設立費用がかかる

会社の種類 登録免許税 定款認証費用等 合計目安
株式会社 15万円 約10万円 約25万円
合同会社 6万円 不要 約6〜10万円

電子定款を使えば印紙税4万円が節約できます。設立サービス(freee会社設立等)を活用するとさらに手間が減ります。

デメリット2:社会保険加入が必須になる

法人を設立すると、代表者一人でも「健康保険厚生年金」への加入が義務です。

保険料は役員報酬の額によって変わりますが、個人事業主時代の国民健康保険+国民年金と比較して、年間50〜100万円程度増えるケースも多くあります。

ただし厚生年金は将来の受取額も増えるため、単純に「コスト増」とは言い切れません。

デメリット3:事務負担と維持費が増える

法人には個人より複雑な決算・申告・帳簿の作成義務があります。

コスト 目安
税理士顧問料 月2〜5万円(年24〜60万円)
社会保険労務士 従業員がいる場合は月1〜3万円
法人住民税(均等割) 赤字でも年7万円以上

つまり法人を作るだけで「何もしなくても年30〜70万円以上のコスト」がかかります。

デメリット4:赤字でも住民税がかかる

個人事業主は赤字なら税金がほぼゼロですが、法人は赤字でも**法人住民税の均等割(最低年7万円)**がかかります。

事業がうまくいかない時期でもコストだけは発生する点は要注意です。


株式会社 vs 合同会社 どちらを選ぶべき?

比較項目 株式会社 合同会社
設立費用 約25万円 約6〜10万円
社会的信用 高い やや低め(増加傾向)
運営の柔軟性 制約が多い(株主総会等) 柔軟(定款で自由に設計)
決算公告 義務あり(毎年) 不要
将来の株式上場 可能 不可
役員任期 あり(最長10年) なし
向いている場面 資金調達・上場を視野に入れる 個人の節税目的・小規模

節税目的で個人事業を法人化するなら「合同会社」がおすすめです。コストが低く、柔軟に運営できます。「株式会社」は将来的に投資家から資金を調達したい・上場を目指したいという場合に選ぶと良いでしょう。

なお、Googleやアップル・アマゾンの日本法人も「合同会社」形態です。「合同会社=信用が低い」という認識は、最近では薄れています。


法人化の手順(7ステップ)

実際に法人を設立する流れを確認しましょう。

  1. 会社の基本事項を決める

    • 商号(会社名)・本店所在地・事業目的・出資額・代表者
  2. 定款を作成・認証する

    • 株式会社は公証役場での認証が必要(合同会社は不要)
    • 電子定款にすると4万円の印紙税が節約できる
  3. 登録免許税を納付する

    • 株式会社:15万円、合同会社:6万円(最低額)
  4. 法務局へ登記申請する

    • オンライン申請(e-Gov)または法務局窓口
    • 設立日は登記申請日になる
  5. 税務署・都道府県・市区町村へ届出

  6. 社会保険の加入手続き

    • 年金事務所で健康保険・厚生年金の加入手続き
  7. 法人名義の銀行口座を開設

    • 設立直後は審査が厳しいことも。ネット銀行も活用可

設立手続きは「司法書士に依頼」か「会社設立freee・マネーフォワード会社設立」などのオンラインサービスを使うと便利です。費用は5〜10万円程度ですが、手間と時間の節約になります。


法人化を検討すべきチェックリスト

以下の項目に3つ以上当てはまったら、法人化を税理士に相談する価値があります。

  • 個人事業の課税所得が600万円を超えてきた
  • 大企業・上場企業との取引を増やしたい
  • 配偶者・家族を事業に関わらせたい
  • 退職金を将来の節税手段にしたい
  • 事業で大きな設備投資をする予定がある
  • 複数の事業を展開したい
  • 将来的に事業を売却・承継したい

まとめ

法人化のポイントを5つにまとめます。

  1. 年収600〜800万円が目安だが、社会保険・顧問料等のコストも含めて試算が必要
  2. 節税の手段が増える(役員報酬・退職金・社宅など)が、コストも増える
  3. 社会的信用と取引の幅が広がる(大企業との取引が可能になることも)
  4. 個人の法人化には「合同会社」がコスト面でおすすめ
  5. 設立手続きは自力orサービス活用で費用を抑えつつ、税理士への相談は必須

「法人化が得か損か」は個人の状況によって大きく異なります。まず税理士に試算を依頼して、費用対効果を数字で確認することを強くおすすめします。

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